憲法Q&A

Q&A そもそも編
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憲法は、いつ何のためにつくられたの?

日本の現在の憲法は、1946年11月に、国民が選挙で選んだ国会議員つまり国民の代表者によってきめられたのです。

現在のように国民が主権者として国の政治を決めることのできるようになったのは、いまから2 00年少し前のことですが、そのような国の仕組みを決めたのが近代の憲法です。
 
それ以前は、国民は国王や貴族に支配されており、一方的に決められた税金を取り立てられ、自由も権利も保障されていませんでした。結婚すら自由にできなかったのです。フランス革命(1789年)など市民革命によって、そのような支配が打ち破られ、権利や自由が勝ち取られていったのです。その権利や自由を守るためにつくられたのが憲法であり、そのような憲法にもとづいて政治を行う国が「立憲国家」と呼ばれているのです。
 
したがって、憲法において一番大切なことは、国民の自由や権利を守ることです。政府など国の権力を行使する立場にあるものは、憲法にもとづいて政治を進めなければならないのです。国民の権利や自由のために、権力を制限するのが憲法なのです。
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憲法ってなぜ必要なの?

「国民の権利や自由を守る」という国民との約束を国家権力に守らせるために必要です。これは「立憲主義」という考え方に基づくものです。

憲法には人権だけではなく国家の統治制度も規定されています。これは「立憲主義」という考え方に基づくもので、国家権力を制限して国民の権利や自由を保障するために、人権規定とあわせて規定されているものです。例えば、権力を三権分立にしてあるのも、権力が1カ所に集中することで濫用され、人権保障がないがしろにされないようにするためです。

国王が国民を支配していた時代のように、権力者が好き放題に政治を進め、国民を無視するようなことになれば、憲法で宣言された国民の権利や自由は吹き飛んでしまいます。憲法は国民が人権を守るために国家に突きつけた「契約書」であり、簡単には変えられないよう、改正手続も国会議員の3分の2の多数が賛成したうえで国民の直接の投票で過半数が賛成しなければならないと厳格に定められています。改正手続を変えて簡単に憲法を変えられるようにすることは、立憲主義にも反することになります。

日本国憲法には、人権規定だけではなく、戦争放棄を定める9条が規定されており、とりわけ重要な内容になっています。国民が自分たちの権利や自由、そしてあるべき国のかたちを確保したいと考えるならば、憲法は必要だし、その内容も人権保障のためにふさわしいものでなければならないのです。
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憲法って他の国にもあるの?

あります。むしろ憲法のない国はほとんどありません。

憲法とは国民の権利や自由を保障し、権力がまもるべき基本が定められています。なかには独立した憲法典としてはまとめていない国もありますが、国民の人権保障を認める国であればどこでも憲法を持っていると言えます。
 
例えば、過去にされた裁判所での判断にしたがって政治を進めているイギリスは、判例法の国といわれていますが、条文として整理された憲法典はありません。だからといってイギリスに憲法がないというわけではないのです。産まれながらにして当然に人には人権があるという考え方にもとづいて、長い間の判例や慣習、法律の積み重ねられており、それが人権を保障し、権力を限界づけているのです。
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他の法律と何が違うの?

憲法は一番大事な国の「決まり」です。他の法律との違いは、主に次の3つです。

@ 憲法は国家の最高法規であるとされています。 つまり、日本の憲法では、戦争をしないということ(平和主義)、国民一人ひとりに、大事な権利があること(基本的人権の保障)、そして国民全体の意見で国を治めていくこと(民主主義)が基本の原則です。

A また、憲法で定められている「決まり」は、あらゆる法のなかで、もっとも強い効力があります。国会でつくる法律も、地方自治体がつくる条例も、政府や自治体も、この憲法に反することはできません。憲法に反するものは無効です。裁判官はもちろんですが、天皇、大臣、議員その他全ての公務員は、憲法を尊重し擁護する義務があります。

B さらに、憲法を改正するには、手続が一段と厳しくなっています(硬性憲法)。現在の日本の憲法でも、国会議員の3分の2の多数が賛成したうえで国民の直接の投票で過半数が賛成しなければなりません。これは、憲法が国の基本を定める最高の法であるため、コロコロ変えられるようでは困るからです。また、国民の権利や自由を守るためにも、政府の都合や法律によって簡単に憲法が変えられることがないようにしているのです。
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