憲法Q&A

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今の憲法は環境権やプライバシー権を保障していない欠陥憲法だって本当なの?

今の憲法の下でも環境権やプライバシー権は保障されます。

確かに、憲法に環境権やプライバシー権という言葉はありません。しかし、今の憲法は、時代とともに新しい人権が必要となることを予定して、新しい人権も憲法できちんと保障しています。

憲法13条は、国民が個人として尊重されることを明らかにし、幸福追求の権利を定めています。ここには、人格権、すなわち人間が人間らしく生きるために必要な権利が包括的に認められています。環境権もプライバシー権もこの人格権の中に含まれています。ですから、憲法を改正しなくても環境権もプライバシー権も保障されます。今の憲法が人権保障にかける欠陥憲法などということはありません。
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「公共の福祉」って何?

公共の福祉とは、人権と人権が衝突した場合に、それらを調整して公平を図る原理です。

例えば、重要な人権の一つに表現の自由がありますが(憲法21条1項)、表現の自由があるからと言って、マスコミが何でも好き放題に書くことが許されるかというとそうではなく、人の名誉やプライバシーという他の人権を侵害することを理由に、表現活動が制約を受けることがあります(出版の差し止めを受けたり、損害賠償を請求される等)。

このように公共の福祉は、人権を制限する必要最小限の考え方であり、「国益」とも異なりますし、公共事業に使われている単なる「公共」という言葉とも違うのです。国益や公共などの名のもとに、安易に、人権を制限させるようなことがあってはならないのです。
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公共のためには人権も制約できるの?

ただ、「公共のため」というだけでも人権を制限することできません。

確かに、基本的人権の保障について、憲法13条は、国民の権利は「公共の福祉に反しない限り」最大の尊重を必要とするとしています。

しかし、「公共の福祉」さえ持ち出せば、法律によって簡単に人権を制限できるというのでは、憲法が人権を保障した意味がなくなってしまいます。そもそも、公共の福祉とは、人権と人権が衝突した場合に、それらを調整して公平を図る原理なのです。したがって、公共の福祉によって人権が制約を受ける場合でも、必要最少限度のものでなければなりません。

これに対して、憲法改正しようとする自民党の改憲案などでは、「公共のため」に人権の制限をより広く認めようとしています。すなわち、他人の人権の調整によって制限される場合だけではなく、「国家の安全と社会の健全な発展のため」にも、人権を制限しようというのです。これは、人権を安易に制限する仕組みといわざるを得ません。
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私たちの暮らしに憲法を生かすにはどうしたらよいの?

憲法は、一人ひとりを尊重する立場に立っています。法の下の平等、思想良心や表現の自由をはじめ、健康で文化的な生活を保障(生存権)し、社会保障や教育を受ける権利、働くものの権利など基本的人権の保障を徹底しています。戦争を放棄し、軍隊を保持しないとしたのも人権保障のためです。憲法は、平和と福祉の国づくりを進めることを定めているといえます。

ところが、長時間労働、過労死、リストラ、男女差別、障害者差別は解消されないばかりか、医療費負担増、年金給付削減など福祉が大きく切り下げられています。その一方で、法人税減税や規制緩和など大企業への手厚い保護が次々に打ち出されるなど、福祉国家の理想とは逆の政治が行われているのです。また、平和国家の道に逆行する有事法制や海外派兵なども進められています。

憲法を無視する政治が横行していると言っても過言ではありません。そのような政治のあり方を変えさせることは、憲法が定めている権利の一つひとつを具体的に実現することにほからならないのです。憲法と結合して運動を広めることが大切です。
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